今宵の月のように
□今宵の月のように #19
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静かに流れるBGM
グラスの中で氷が溶ける音
時折零れる吐息
そんな中、
彼女はポツリと呟いた
" 失ってはじめて、その大切さに気づいたの "
- 今宵の月のように #19 -
こんなこと言う人、現実でいるんだなぁ…なんて、ある意味感心した。
ドラマとか映画とか、そんなんではよく聞く言葉だけど。
失ってはじめて気づく、か…。
そりゃあ…まぁ、そう言うこともあるよね。
そばに居る時には気づけなかった、とか。
離れてみてはじめてその存在の大きさに気づいた、とか。
そんなことは、大人なら誰しも似たような経験があるんじゃないかとも思う。
こんなあたしにだってなくはない。
そんな中、
" もう一度やり直せないかな、私たち "
そう涙ながらに訴えた彼女。
大きく輝く瞳から零れる涙は、同性のあたしから見ても美しかった。
あたしのひっどい泣きっ面とはえらい違いだわ…なんて悲しくなるくらいのキレイな横顔。
だけど、
可哀想。
など、同情する気には到底なれなくて。
すごい事言うなぁ。
て、心の中でつぶやいた。
きっとあたし今、
すごい冷めた目をしてると思う。
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