novel
□親友のコトバ
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「好きです。」
嗚呼、このたった4文字の言葉が。彼から発せられたものだったならば。
嗚呼、この目の前で顔を赤くして俯いてる少女が。彼だったならば。
こんなに幸せなことはなかったのに・・・と、何の浴場もしない少女に向かって口を開いた。
ガラッと音を立てて教室の扉があいた。
「山本。」
今までプリントとにらめっこをしていた(だけで全く書き込んではいない)ツナは顔を上げて、親友の名を呼んだ。
「よっツナ。どんくらい進んだか?」
「先生みたいなこと言わないでよ山本・・・。
まだ全然。オレ証明って苦手でさ・・・。」
「アハハッオレも証明苦手なのな。
あの順序ってやつがイマイチつかめなくてな。」
『だから一緒にやろうぜ。』と、山本はツナの前の机を掴んだ。
丁度ツナの席と向かい合うように移動し、座る。
そして教師から渡された補習プリントをやり始めた。
暫くたった後、ふとツナが顔を上げた。
「・・・山本。」
「ん?何、ツナ。」
「昨期の子さ・・・」
「ああ、告白だったよ。」
告白・・・とさらりと言ってのける山本と対照的に
ツナは自分の胸がずきりと痛むのを感じた。
自分からきいたことだし、予想はしていた筈なのに。
実際に彼の口からきくと、こんなにも重くて、こんなにも鋭い。
「でもまあふったんだけどな。今は野球に集中したいし。」
「はは・・・山本らしいな〜でも結構可愛い子だったのに・・・もったいないなぁ。」
「そうかな?・・・でもさ。」
「オレはツナの方がずっと可愛いと思うけど?」
親友のコトバ。
(ずるいや山本。勘違いしそうになる。)
(こんなこと言っても、ツナには伝わってないんだろ。)
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