novel

□日本茶と快楽を
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はぁ・・・

手錠で両手を封じられたままの綱吉は、どうしたものかとため息をついた。
自分の技を完成させてくれるという、この敵は信用してもいいのだろうか。
まああの言葉に嘘偽りはなさそうだったし、日本茶は美味しかったし。
ん?後者はなんか違う気がする・・・でもま、いいか。

「どうした?」
一人でうーんうーんと唸っていたら不思議に思ったスパナが話しかけてきた。
彼と目線を合わせるため、綱吉は彼を見上げる。
実は自分の倍近くあるんじゃないかと思う程大きな彼を見上げると、首が痛くなるのだが。
そんな事を考えながら、思い切って綱吉は彼に尋ねてみることにした。
「あのさ・・・いいの?オレ敵のボスだよ?
 そんな奴助けちゃって、上から何か言われたりしないの?」
するとスパナは一瞬考え込み、綱吉の体じろじろと見てきた。
あまり人に見られることに慣れていない綱吉は戸惑う。
そしてスパナは、何かを思いついたようににやりと微笑んだ。
「そうだな、確かにウチは本来殺すべき存在であるあんたを助けてる。
 その上あんたのその未完成な技を完成させてやるんだ。」
「え?うん・・・」
そうだよな、敵とはいえ悪い奴じゃなさそうだし。
お礼の言葉もなしじゃ失礼だよな、と綱吉が考えていた矢先、
世界が反転し、スパナは無防備な綱吉を布団へ押し倒した。

「あんたが何も奉仕しないんじゃ、不公平だろ?」

そう言って笑ったスパナの目には何か狂気じみたものを見た気がした。



手錠で繋がれ、殆ど動けない綱吉の両手を彼の頭の上に持って行く。
「え・・・?な・・・にす・・・」
怯えた目を向けてきいてくる生き「物」に、スパナは自分が身震いするのを感じた。
本当はこれから何をされるかなんて、きかなくても分かっているのだろうに。
よほど想像したくないのだろう、自分が男に犯される様を。
これを壊したい。はやくぐちゃぐちゃにしてしまいたい。
この大きな琥珀の瞳に、自分だけを映せる喜びは、何にもまさるものだったのだ。
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