小説@
□任務先での約束
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「よぉ」
任務が終了して帰ろうとしていた矢先、ちょうど同じ機関員が目の前に現れた。その男、シグバール。肌が合うというわけでもないと思うのだが、そう苦手といった部類の者でもない。未だに性格は掴めてはいないが。
「何故、ここに?」
「偶然にも任務先が同じだった、ってハナシ」
形式的に言葉をかけると、些か大仰ではないかと思える身振りと、特徴的な口癖を添えた言葉が返ってきた。
「そうか」
任務の内容は敢えて聞かない。他人のゲームに手を出すことほど無粋なこともないだろう。そのまま帰ろうと闇の回廊を出す。
「これが終わったら一緒に飲まねぇか?久々に」
片足を入れかけたところで、突如声をかけられた。向けていた背をくるりと返し、正面に向き直る。
「カードゲームでもしながら、な」
誘うような眼差し、声色。心などある筈もないのに、本当に感情があるかのようだ。
「悪くないな」
了承の言葉を返す代わりに、ふと笑んでみる。その意味は正確に伝わったようで、シグバールはいつもと同じくニヤリとした笑みを浮かべ、決まりだな、と背を向けた。
「すーぐ終わらせてやるからよ、楽しみに待ってろ、kittyちゃん」
「誰がだ」
向けられたkittyという単語は、とりあえず鼻で笑っておいた
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