小説@

□君がいるだけで、世界は変わる
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何故、学校に行くのか。
そう問われたら俺は間髪入れずに義務教育だからと答えるだろう。
まぁ、己の剣を磨きたいとか言ってサボりまくってる奴もいるのだが。


(……暇だ)


内容の分かり切っている話を延々と聞かされるということほど苦痛なものはない。何が嬉しくて50分もの時間を椅子に座ったままじっと耐えぬかねばならないのか。もう苦痛を通り越して拷問に近いと思う。
やはり先程述べた少年剣士がいないのにこの授業(と言う名の拷問)に珍しく出てみようと思ったのがいけなかったのか。しかし今から抜けようにも、もう25分が経過してしまった。些か抜けにくい雰囲気になっているため、この無駄な時間はまだまだ続きそうだ。
俺は気持ちため息を吐き、窓の外の景色を見下ろす。どうせやるなら俺の知らない言語にでもしてくれ。そうすれば真面目に授業にも出てやるよ。いや、マスターした時点で出なくなるから同じか。
あまりに暇なので、とりあえずその辺を飛んでた鳥を目で追ってみた。必然的に視界に入った空は抜けるように青く、ここまで晴れ晴れとしていると逆にムカつく。この空の青は俺の瞳の色とよく似ているとか言われるが、どうしても違うと言いたくなる。


(……あ)


再び眼下に目をやると、ちょうど例の少年剣士が校門を潜るところが見えた。


「スクアーロ」


その少年剣士の名前を口に出すと、教室内の空気が凍った気がした。そういえば生徒にはもちろん先生にまで怖がられていたなと思い出したが、それを意識してみたところで今更何の変わりもないと周りのことはこの際無視することに決めた。
わざわざ何をしにこんな所に来たのかと見つめていたら、視線に気付いたのかスクアーロが顔を上げた。ばっちりと目が合って逸らせなくなる。スクアーロはニヤリと面白そうに笑みを浮かべ、自身の愛用している剣と、木刀を掲げた。
――こんなに分かりやすいお誘いに、乗らない手はないだろう。俺は筆記用具を乱暴に仕舞い、ほとんど何も入っていない鞄を持ち席を立った。皆には悪いが、俺はこのまま退出させてもらう。


「ってことで、後はサボるんでそこんとこヨロシク」


皆が茫然と呆気にとられている中、俺は三階の窓から勢い良く飛び降りた。











君がいるだけで、世界は変わる

「――で?どこで闘るんですかスペルビさん?」「あ゙ー…決めてなかったぜぇ」

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