短編小説 2

□純正ネオテニー
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「乱馬、約束だからねっ!今日買い物付き合ってよっ!」


朝、学校へ向かう時に、あかねは乱馬に念を押すように口を尖らせた。
天道家では毎月20キロもの米を消費する。
華奢なかすみやのどかでは到底持てる筈のない重さ。
今日は他にも買い物を頼まれ、あかねは渋々乱馬に手伝いを頼んだのだ。

「あ〜うっせぇなあ。わかってるよ」

寝坊して朝ご飯抜きだった乱馬は、機嫌も悪く承知した。
そして、そんな約束をした放課後に限って…よりによって会いたくない三人組が揃ってやって来るのである。


「乱馬、私とデートするある」
「乱馬様!私と!」
「乱ちゃんはウチとデートするんや!」


「い、いや…今日はちょっと用事が…」

相も変わらずの曖昧な態度。
情けなく後退りする乱馬に、あかねは冷ややかな視線を向ける。
強く断れない許嫁に、いい加減呆れていたのだ。


 
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