特別企画

□for the first time 2
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 先生の部屋はしっかりと片付いていて、なんか少し意外な気がした。

でも…確かに几帳面な一面をたまに授業中にも見せていた事もあったから、別に不思議ではないのかな!?
 専門書を中心に並ぶ本棚を何気に眺めていると、台所から戻ってきた先生がコーヒーが入ったマグカップをあたしに向かって差し出した。
「珍しいモンでもあったか!?」
「い、いえ…」
 微笑みながらコーヒーを口にする先生に釣られて、あたしまで立ったまま同じ様に口にしてしまう。
「…おめーが好きそうなモノはねえだろーな。ごめんな」
「そんなっ‥‥あれ!?」
 ふと本棚の隣にある机が目に留まった。
ノートパソコンの下になんか隠す様に挟まれた紙…というか、多分封筒。
 しかもそれにはとても見覚えがあって…。
「…あ、バレたか」
 無意識についそれに手を伸ばすと、後ろで先生が困った様な声を上げた。
「せ…、じゃなくて乱…馬。これ…」
 忘れる事なんて出来ない。この封筒…いや、手紙はあたしが先生に送った…。 半年前、告白を決意したあたしが、先生を呼び出す為に書いたモノ。
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