月の夢

□第五章【再会】
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「へぇ…随分と感が鋭い姫君だね?花のように美しい姫君とは是非お近づきになりたいんだけど、その前に聞いておかなきゃならない。この場所に何の用だい?」


からかう様な口調だが、その裏では白桜が何者なのか見極めようとしているようだ



「あら、用がなければ来てはいけなかったかしら?」

ゆっくりと振り返り、紅い髪と瞳を持つ少年と向き合う


絡み合う視線は炎の紅と鮮血の赤



「ハハッ…なかなか手強い姫君だ。でもここは強力な結界が張ってあってね、簡単に入ってこられるような場所じゃないんだぜ?」


一体何者だい?と、再び問いかける


そんな少年に白桜は妖艶な笑みを向けた


「…それは時が来れば分かることよ…今はまだその時ではないわ。今日は探し物をしに来ただけ」


どこか意味深な白桜の言葉に少年は片眉を上げ視線を桜に向けた


「探し物、ね。真っ直ぐにその桜の元に来たみたいだけど、姫君はその桜を知っているのかい?」



「さぁ、どうかしら?この場所に来たのは初めてよ。貴方は知っているの?」



問いかけてもサラッとかわされてしまう会話に少年は軽くため息をついた
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