想い。
□秘密基地
1ページ/1ページ
私には私だけの空間=「探求のための安全基地」が必要であった。
探求の旅は孤独と背中合わせである。
かなり遠いところまで来てしまった。
あの時引き留めてくれた猫が居なければ私はあの無限の宇宙に生身で投げ出されていただろう。
どれくらい遠くへ来てしまったのだろうか?
今ではすれ違う人にも出会わない。
最後にあったのは、細く白く糸のような優しい声の人。
私はその人がもしかしたら最後の人かもしれないと思いながらも、歩みを止める気すらおきず、また先を急ぐこともなく歩む。
現実はここにあり。
私の部屋は他者からみればかなり汚い。
しかし、それらのものはすべて私がここに戻ってくるのに必要な鍵であり、私をつなぎとめる鎖であり、出会い見つけた宝である。
「まだ旅を続けるのか?」
誰かが私を見下ろし、声をかける。
「私はただ歩いているだけです」
そう、歩いているだけなのだ。
たどり着く場所はいつか夢に見たあの丘か…?
帰れる場所があればどこへだって行ける。
そう。
「この部屋があれば、私は宇宙の果てにだって明日の夜にはたどり着ける」
世界が悪いんじゃない。
私がただ、冒険心をもって生まれただけのこと。
そうでしょう?
おじいちゃん。
お父さん。