想い。
□そっと郷里を思い出す
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私はかつて、青春時代をあの学舎で過ごした。
入った当初は新設校舎の綺麗な廊下。
全てが新しく、全てが輝き、全てが直に私の中に飛び込んできた。
きっとあの頃の自分は、初めての場所への戸惑いはあったものの。
不安や恐怖なんかは、感じていなかったように思う。
あぁ、幼い自分に感謝したい。
綺麗な眼で世界を愛してくれてありがとう。
そういえば、私の学舎は偶数年は二棟あるうちの旧校舎で過ごしていた。
古くて色褪せた校舎は、でもその年数にしては綺麗な所だったと思う。
横手には山が見えて、私はその深い緑の色が好きだった。
季節ごとに移ろう自然の色彩の虜になっていた。
初めて授業以外で、学校にいるときに描いたのはその山と町並みと綺麗な空だった。
休み時間なのに絵かいてんの?
と友達に聞かれて。
つっけんどんな私は、べつに良いでしょ!と突っぱねた。
確かにあの頃は若かった。笑
でも大好きな恩師に声をかけられると、満面の笑みで。
「ここから見る景色が好きなんです。」
と答えたのだった。
ねぇ、昔の私。
あの時私の道は広がったのかな?