想い。

□そっと郷里を思い出す
1ページ/1ページ

私はかつて、青春時代をあの学舎で過ごした。

入った当初は新設校舎の綺麗な廊下。

全てが新しく、全てが輝き、全てが直に私の中に飛び込んできた。

きっとあの頃の自分は、初めての場所への戸惑いはあったものの。

不安や恐怖なんかは、感じていなかったように思う。

あぁ、幼い自分に感謝したい。

綺麗な眼で世界を愛してくれてありがとう。

そういえば、私の学舎は偶数年は二棟あるうちの旧校舎で過ごしていた。

古くて色褪せた校舎は、でもその年数にしては綺麗な所だったと思う。

横手には山が見えて、私はその深い緑の色が好きだった。

季節ごとに移ろう自然の色彩の虜になっていた。

初めて授業以外で、学校にいるときに描いたのはその山と町並みと綺麗な空だった。

休み時間なのに絵かいてんの?
と友達に聞かれて。

つっけんどんな私は、べつに良いでしょ!と突っぱねた。

確かにあの頃は若かった。笑


でも大好きな恩師に声をかけられると、満面の笑みで。

「ここから見る景色が好きなんです。」
と答えたのだった。


ねぇ、昔の私。

あの時私の道は広がったのかな?

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ