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□愛するが故に
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会員制クラブ『ミスティー』

俺がドライバーを勤めるデートクラブ。

店にはいろんな女の子がいる。

女の子って言っても年齢はバラバラで20代の前半から30代の後半まで。

うちの店は結構人気があって常連も多い。

女の子からの面接の問い合わせも多いけど面接を通るのが難しい。

社長が面接担当で女の子の質を落としたくないと考えるから厳しくなる。

暫く新しい子が入る予定はなかったはずが、出勤してみると事務所のソファーに女の人が座っていた。

社長の話しでは今日から働くらしく説明も全て終わっているらしい。


「檜佐木修兵です。ドライバーやってます。困った事があったりしたら何でも言って下さい」

『仁美です。よろしくお願いします』

「修兵、早速行ってくれ。浮竹だ」


浮竹さん。

あの人なら安心だ。

変な安心感に自分自身首を傾げながら仁美さんを連れて車に乗り込んだ。

特に話す事もなく浮竹さんの家に着いた。


「仁美さん、大丈夫?」

『え?ぁ‥はい』


仁美さんの受け答えに一抹の不安を覚えた。


「本当に大丈夫?」

『はい』


さっきとは違う返事をくれたけど何だか不安だった。

それでも行かせない訳にも行かずチャイムを鳴らした。

すぐに出てきた浮竹さんに仁美さんを紹介した。


「よく来てくれたね。入って」


仁美さんに入るように言いながら俺には封筒をふたつ寄越す。

ひとつは仁美さんと遊ぶ分の料金。

もうひとつはドライバーの俺へのチップ。

いろんなお客がいるけど、ドライバーにまで気を使ってくれるのは浮竹さんくらいだ。


「ご苦労様。また後でよろしくな」

「じゃあ、よろしく頼みます。仁美さんよろしくね」


緊張してるんだろうな‥。

仁美さんか‥

あんな人って本当にいるんだな‥。

こんな仕事をするようには見えなくて美人で一度目が行くと視線を外せなくなる。

どんな人なのか知りたくなる。

それと同時に‥

無性に抱きたくなる。

自分だけの物にしたくなる。

こんな気持ちになったのは初めてだ。





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