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□強引な彼
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まだ忘れられない恋があった。
まだ諦めきれない人がいた。
自分で終わらせた恋なのにそこから進めない私がいる。
立ち止まったままの私になんの躊躇もなく声をかけて来る男がいる。
九番隊副隊長檜佐木修兵。
執務室に来る度に私を誘い、どこかですれ違えば壁に私を押し付けてギリギリの所まで唇を寄せては止める。
「仁美さん‥そろそろ堕ちて下さい。じゃないと‥俺もう限界です」
つい二日前に言われた言葉。
どこか自信に満ちた檜佐木君の顔。
どこから生まれる自信なのか羨ましくなる。
私にもあの何分の一かの自信があれば良かったのかなと思う時がある。