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□恋心
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未だに疼くらしい右の目を押さえて俯くあなたをあと何度見ればいいのでしょうか…。
青鹿くんと蟹沢さんを亡くしたあの日から貴方は貴方でなくなった。
仲間の死に責任を感じているのか、明るく自信に溢れ、人望があり優しかった貴方はどこへやら‥。
皆が貴方に近付かなくなった。
右目の治療さえもする事なくただ漠然と日々を過ごしていた貴方。
そんな貴方からの告白に自分の耳を疑った。
「ダメかな…俺じゃ」
『一つお願いがあるの。私の願いをきいてくれるなら』
「なに?」
『目を治して』
「そしたら付き合ってくれる?」
『うん』
一緒に技局に行って欲しいと言われ、その後は治療の度に一緒に技局に通った。
そして貴方は光を取り戻した。
日を追う毎に明るさを取り戻して行く貴方を見て救われた。
あれから何年経つのかな…
何年、何十年と月日を越えても年に一度、貴方は一日中俯いたままの日がある。
その日だけは顔を決して上げる事をしない。