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□後悔
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その後、仁美を見掛ける事はあっても声をかける事はしなかった。
更に数日後、書類を抱えた仁美が執務室に入って来た。
『檜佐木副隊長、書類をお持ちしました』
「あぁ‥こっちへ」
『‥‥』
「いや‥そこに置いて行ってくれて構わない」
仁美は俺の話を聞きながら何か考え事をしているようだった。
暫くすると意を決したように一歩一歩俺に近付いてくる。
「仁美‥」
俺の隣に立つと書類を手渡してくれた。
前回言えなかった事、俺の誤解だとあの後分かったんだと話した。
「思い過ごしだけであんな事して‥すまなかった」
『分かってもらえればいいんです』
「お前‥‥」
仁美に触れたくて手を伸ばした。
だが‥
世の中そんなに甘くはないんだってその時初めて知ったよ。
伸ばした手は仁美に届く事はなかった。
仁美も意識してやった事じゃなく何て言うか‥
条件反射みたいなもんだったんだろうと思う。