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□あなたへ
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今まで一度だって仁美から抱いて欲しいなんて‥

俺が覚えてないだけか?

そんなはずはねぇ‥。

どこかぼんやりした頭でそんな事を考えてた。

考えながらも、仁美の言葉に従う俺自身。

その内頭の中も心も体も視界も‥

全てが仁美で一杯になっていった。

仁美も俺もいつも以上に感じあっていた。








なのに‥

抱いても抱いても‥

どれだけ抱いても離せなくて‥

空が白くなり出すまで仁美を抱いた。

さすがに限界を感じて仁美を抱きしめて眠りに落ちそうになる。

心地よく眠りに引き込まれる寸前、仁美の声が聞こえて重い瞼をなんとか少しだけ持ち上げた。


『修兵、愛してる‥。今まで‥ありがと』


俺の一番好きな笑顔をくれた。








そんな仁美を抱きしめて愛してると言った俺の目元は涙で濡れていた‥。








仁美‥。


約束、今だけは‥


守れそうもねぇよ‥。


今だけは許してくれよ‥。







呟いた俺の傍らを


優しい風が吹き抜けた。





End
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