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□ずるい女
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『あーぁ‥仕事したくないなぁ』
失恋の痛手から立ち直れずにいた私は何もかもが嫌になってさぼってばかりいた。
「仁美、仕事しろ!」
『日番谷隊長‥今日は何もしたくないんですけど』
「ふざけるな!さっさと降りて来い」
『んー‥やっぱり止めておきます。それじゃあ』
十番隊の屋根に上がって空を眺めていたら隊長が呼びに来た。
いくら何を言われようとも仕事に向けて体が動かないものは仕方がない。
隊長に背を向けて一気にその場から離れた。
『どこに行こうかな‥』
独り言を呟きながらブラブラとあてもなく歩き回り、休むのにちょうどいい場所を見つけて一休み。
元気に飛び回る子供たちの声を聞きながら少し離れた場所にいる恋人同士に目をやった。
楽しそうに笑い合う二人が羨ましかった。
思い出したくはないのに彼の事を考えてしまう。
いつの間にか流れていた涙を慌てて拭った。