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□ずるい女
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「仁美さん。どうしたんですか?」
『修兵君‥。あなたこそ何してるの?』
「非番なんですよ。やる事なくて散歩してたら仁美さんがいた。泣き顔なんて似合いませんよ」
『勝手に流れてくる物はどうしようもない』
「話し相手になりますよ」
誰にも話すつもりなんてなかったのに修兵君を相手に愚痴をこぼした。
口を挟まずに話を聞いてくれた。
泣きながら話す私の頭を撫でながら話を聞いてくれた。
『失恋なんてかっこ悪いでしょ?』
「忘れちまえ。忘れていい男をつかまえて見せつけてやれ」
『修兵君みたいにもてる訳じゃないのよ?そんなに都合よく見つからないよ』
「じゃあ酒でも飲んでみるとか?」
『それいいね。付き合う?』
二人で適当な店に入り昼間からお酒を飲んだ。
元々お酒には強い方で人並みに飲んだくらいじゃ酔いはしない。
それが分かっていたからペースを落とさずに飲んだのがいけなかった。
「仁美さん‥大丈夫?」
『修兵‥悪いんだけど‥部屋まで連れて行って』
私をおぶって歩いてくれる修兵君の背中は暖かかった。