0-3外伝
□魔法少女知里にゃん☆ その四
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突如現われた王に勝負を挑む知里にゃん☆
果たして勝算はあるのか!?そもそも勝負とは何なのか!?
「と、自分でナレーターしてみたり」
「先輩……」
何やら悲しくなってきた。この魔法少女見てると…ホントに…
「大丈夫、勝算ならあるわ!!」
「いや、別にそのへんの心配はしてないんですよね。むしろ負けて黙ってくれた方が助かります。でも中身小三だからやり直しとか要求しそうってごめんなさい」
言ってる途中でアップリケが視界に入ったので即座に謝る。
うん、ナイスプレイ。
「勝負は……ドキドキ音読大会!!」
「何を音読させるつもりですか!!」
「走れメロス」
「あ、そこは真面目なんだ……」
そもそも音読大会という時点で真面目じゃないのだが、というのは後に気付くことになる。
「よかろう。カモンカモン」
「あ、すごい乗り気だ…」
どうやら相手も乗ってくれたようなのでよしとしよう。
「ルールを説明するわね。この教室にいるみんなで文章を一つずつ読んでいきます。間違えたり噛んだりした人が水着泥棒」
「待てい」
ちょっと待て。おかしい。
「二人の対決じゃないんですか?何か俺らも巻き込まれてるっていうか趣旨が違うっていいますか」
あれ、そもそも何で小三に敬語使ってるんだろう。
あ、一応先輩だからか。この小三が
「聞こえてるんだけどネ☆」
「ごめんなさい」
かくして、運命の音読大会は始まった。
「全員準備はいーい?」
教科書を開いて自慢げに胸を張る知里にゃん☆
間違えろ。
「じゃぁ、私から…ゴホン」
わざとらしく咳払いをした知里にゃん☆は音読を始める。
「メロチュ――」
噛んだ!!
「……………」
辺りを沈黙が支配した。
「も、もう一回…」
「ダメです」
即答する俺。涙目な知里にゃん☆
「い、いいじゃんもう一回!!もう一回!!いーいーじゃん!!」
べそをかきながら騒ぐ知里にゃん☆
ホントに小三だよ。
「はぁ…」
溜息をつきながら立ち上がり、知里にゃん☆(いい加減表記がめんどくさい)のもとまで歩く。
そして、泣きじゃくる知里にゃん☆の肩に手を置く。
「先輩」
優しく、満面の笑顔。
その顔を見た知里にゃん☆の顔も明るくなる。
「か、神崎…それじゃ、もう一回――」
「どんまい、水着泥棒」
召されました。
〜続く〜