0-3外伝
□グレートティーチャー緋藤 一話目
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休日と言えば?
決まっている、家でジャンプを読むに限る。
「…あー、そういや飯が無いな」
頭を掻きながら飯をどうしようか考えていると、突然家のチャイムが鳴った。
「おいおいおい、誰だよ人が試行錯誤の末に昼飯はジャンプにしようって思った矢先に」
ぶつぶつ文句を言いながらドアを開く。
「マガジンなら間に合ってますよっ……て」
そこに居たのは自分の良く知る人物だった。
「久しぶりだね、センセ♪」
「お久しぶりです、緋藤先生」
「……ぅぁ」
「あー、思いっきり嫌そうな顔してやがる!?花観、こいつシメよ!?」
「こらこら、いきなり押しかけたのはこっちなんだから」
その人物とは、前の学校の教え子だった。
二人とも高校を卒業して今は大学生になっているのだが。
どうしてここが分かったのだろう。どうしてここに来たのだろうか。
「……ジャンプか?」
「違うわ!!何真顔で言ってんのドアホ!!」
「……ま、せっかく来たんだ。入れ閏海」
「私は!?」
「帰れバカ旗」
「秋旗!!」
感情丸出しで突っかかってくるコイツは、某バカ持の女版である。
「先生、せっかくですし、釦もお願いします」
礼儀正しいいい教え子であるこっちは閏海花観。
「そうよ。こんなとこに来てやったんだから入れなさいよ」
こっちの方は、男だったら速攻、超究武神覇斬あたりをお見舞いしてやるところだ。
「お前、俺の今の教え子のクソバカに似てるな」
「何ぃ?バカにすんなよ!!」
「今の総理大臣は誰だ?」
「オバマ!!」
同レベルだ。よく大学行けたなオタンコナス。
「じゃ、大統領は?」
「と○だち!!」
「……帰れバカ旗」
「嫌だ!!」
休日まであのバカを相手しているようでかなり頭が痛くなるのだが。
「で、何のようだー」
中に入れて適当に座っていただき、俺はジャンプを読むことにする。
「おい、せっかく来たんだから相手しろ!!」
「お前と遊ぶよりジャンプの方が面白い」
「漫画なんかに負けるか!!私のほうが面白い!!」
「へー。じゃぁ、お前はハンターハンターに勝てるのか?冨樫に勝てるってのか?」
「私は人生毎日連載だから!!たまにしか来ない面白い人に負ける気はしないよ!!」
「謝れぇ!!今すぐ冨樫先生に謝れぇ!!」
「あははは……」
この後起きた戦いで、俺はジャンプ一冊と引き換えに悪を滅する事に成功した。
「ひっどー、普通女の子の頭叩くぅ!?」
「叩く。俺は男女差別が嫌いだ。そして冨樫先生への暴言が大嫌いだ」
「うぅ…くそぉ……」
当たり所が悪かった(俺的には最高に良かった)らしく、床に倒れて喋らなくなった。
「ふん、俺の念能力をなめるな」
そう言って座りなおすと、ジャンプを開く。
すると、閏海が俺の隣で、小声で喋りだした。
「先生、ごめんなさい釦が。久しぶりですごく嬉しいみたいで…」
「んー、俺としては最高に厄介だがなー」
「ふふ、先生は変わりませんね」
「お前も相変わらずだな。大学はどうだ?いい人に会えたか?」
ページをめくりながら話を続ける。
「いいえ、残念ながら」
閏海はニコリと笑う。
「私、好きな人は前と変わってませんから」
嬉しそうに言う閏海。
それを聞いた俺は心底溜息が出た。
「だから、私も今日はすっごく嬉しいですよ。緋藤先生♪」
「………はぁ」
心の底から溜息が出る。
どうやら今日は厄日のようだ。