0-3外伝

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俺の名前は日比野晶。

親の都合で急遽転校。

今日から新しい学校生活が始まる。

もう高校生とはいえ、やはり新しい環境の前に緊張しないはずもないのだ。

今居る場所は職員室。

新しいクラスの担任を待っている。

なんつったかな、えと…

「よう、お前が転入生か。名前はー、えと、グリコだっけか?」

「日比野っす。ていうか先生、何で飴咥えてるんすか?」

「俺は緋藤だ。よろしくな、志々雄」

「え?俺の質問無視っすか!?ていうか、日比野ですって」

「フタエノキワミ、アッー!!」

「それが言いたいだけっすね!?」

しばらくこの教師とコントを繰り広げた後、ようやく教室へと移動する。

「おいおい転入生。お前のせいでHRが遅れるじゃねぇか」

「え?俺のせい?」

「よーく名前は覚えとくぞ。日比野晶」

「待った!!何で俺が悪いんすか!?その目やめてくださいって!!」

冷たく俺を睨みつける緋藤。

「ま、冗談はこのぐらいにしといてやろう」

「じょ、冗談っすか…かなり心臓に悪…」

バギッという鈍い音が響く。

「おっとおっと、間違えて飴を全力で噛み砕いてしまったな…」

「間違えて全力!?やっぱ怒ってるじゃないすか!!」

「いや、別に怒ってないぞ。ギリッ」

「じゃぁ何で拳を握るんすか!?」

更に廊下(教室前)でも緋藤とのじゃれ合い(と信じたい)

HR終了のチャイムが鳴り、ようやく教室に入る。

「はい、転入生の紹介です。自己紹介ぐらい自分でしろ」

「いやしますけど……」

教壇の前に立って教室中を見渡す。

全員の視線が俺の集中する。

「え、えと…今日からこのクラスでお世話になります。日比野晶っす。よろしく」

「じゃぁ、お前の席は……」

ビッ、と指差した先は窓際。

いいのか?転校生があんな特等席貰って…!!

「ちなみにあの机を使った奴は死ぬ。間違いなく死ぬ」

「何でそんなもん置いてんすかっ!?」

「さ、早く座れよ。転入生」

俺の肩に手を置いて思い切り見下した顔で笑う緋藤。

くっ、ムカツク。

「ま、死ぬのは冗談だ。せめて脳死くらいだろ」

「死んでるじゃないすか!!それは死以外の何物でもないっすよ!?」

「全部冗談だ。いいから座れ」

「くっ…いきなり冷静に……」

気を取り直して自分の席へ向かう。

あぁ、くそ。みんな見ないで!!

席が一番後ろにあるせいでみんなの注目浴びてるから!!

視姦に耐え抜き自分の席へたどり着いた時、思わず安堵の溜息が漏れた。

「ふぅ、どっと疲れた…」

そう呟いて椅子に座った。

そして、一言。

「せんせー、どうにも椅子が世にも奇妙なんすけどー」


連絡を5秒で終わらせた先生は、「ジャンプ…」と呟いて教室を飛び出ていった。

残った俺達は授業の準備をしていた。

「っ…しくったぁ。筆箱忘れたっぽいな…」

転校そうそうやらかした。

いきなり先生に目を付けられるのも嫌だし、誰かに借りるしかない。

そこで教室を見渡す。

「えと、借りやすそうな人は…」

と、丁度良くとある三人が目に入った。

「おい紘、そのチェリー食べないなら僕にくれよ。がっつくようだが好物なんだ」

「ん、あぁ。別にいいよ。食えば?」

「センキュー」

「悠一くん、チェリー好きなんだね。知らなかったぁ…って、ひゃうっ!?」

「レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ」

「ゆ、悠一くん!?ひ、紘ちゃん、怖いよぅ」

「離れろ百合。コイツに関わるな。悪い夢だ」

「すごく好きなんだ…ココナッツ」

「紘ちゃん!?ねぇ、悠一くんがおかしいよ!?」

「いつもの事だろ」

「あ、あぅ…確かに言われてみれば…って、違うぅ!!」

そう、謎のコントを繰り広げる三人が目に入ったのだ。

どうやら、あの三人のウチの誰かなら貸してくれそうだ…

さて、誰に頼もうか…


『百合と呼ばれる子』
『紘と呼ばれる人』
『悠一と呼ばれる変人』
 

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