0-3外伝

□0-3選択2
1ページ/2ページ

『悠一と呼ばれる変人』


……悠一って人に聞いてみるか

俺は三人に近づいて、悠一くんに話しかける。

「あ、えっと…筆箱忘れたから、鉛筆貸してもらっていいっすか?」

「あぁ、君は確か転入生の。ふむ、それで貸したら何か礼をくれるのか?」

「礼っすか?別にいいっすよ。じゃぁ売店でパンでも…」

「だが断る」

「!?」

「この秋持悠一が最も好きな事のひとつは困っているやつに『NO』と断ってやる事だ…」

「え、えっと…」

こんな時どうすればいいんだろう。

あぁ、困った。どうしよう…

困っている俺を見かねたのか、百合と呼ばれる子が入ってきた。

「もう、悠一くん。困ってる人には優しくしなよ。まだ転校してきたばっかりなんだからさ」

そう言うと自分の筆箱から、シャーペン、消しゴム、赤ペン、蛍光ペンを出して俺に渡す。

「はい。これだけあれば大丈夫だと思うから」

「や、悪いっすよ。こんなに……自分の分はどうするんすか!」

「えへへ、大丈夫。紘ちゃんもいるし」

そう言って照れながら笑う百合さん。何だかほんわかしてて可愛い。

「あ、悪い百合。俺カバンすら持ってきてない」

「えぇ!?どどど、どうするの!?」

「嘘。筆箱だけならある」

「あ、そっか。なら大丈夫だね。私は教科書持ってるし」

一段落着いて、安堵の息を吐く百合さん。

俺のためにありがとう…いい人だ。

「じゃぁ、ありがとう。放課後返すっすね」

「あ、うん。よろしくね。私は汐宮百合っていうの。分からない事あったら何でも聞いてね」

「汐宮さんっすね。俺は日々野晶。好きに呼んでください」

「うん、分かった。頑張ろうね」

俺は会釈をして席に戻る。

汐宮百合さん、優しい人だ。

その隣のやや怖そうな人と悠一っていう人はどうなんだろう。

まぁ、機会があったら話しかけてみよう。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ