0-3外伝
□魔法少女知里にゃん☆ 其の壱
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「先生!!私の水着がありません!!」
とある夏の昼下がり、事件は起きた。
「ちゃんと探したのか、汐宮。お前の旦那が着てたりしないのか?」
「ひ、紘ちゃんはそんな事しません!!」
「見たことあるのか?」
「あ、あぅ……そ、それはないけど…」
「じゃぁ、確かめてみろ」
「わ、分かりました」
「分かるなぁ!!!」
会話を聞いていたら、思わぬ危機が迫っていた俺は割ってはいる。
「俺が着る訳ないだろ!!百合も何納得してんだ!?」
「だ、だって……紘ちゃん男の子だし…」
「男の子だよ!?それを言ったら先生だって男だぞ!?」
「あ、そっか……」
何が何だか分からないまま納得した百合。
水着の事は忘れられつつあった。
その時
「待ちなさい!!」
響き渡る透きとおった声。
やたら動く謎の影。
「世界は私が中心よ!!この世の法律、魔法少女知里にゃん☆参上!!」
「……えーぬじー」
思わずそうこぼしてしまった。
「ちょっと、そこの。今なんて?」
「わぁ☆魔法少女だぁ。って言いました」
「そう、私は魔法少女よ!!チッリチリにしてやんよ!!」
「うわぁ、直毛にはたまんない仕打ちだ」
その言葉に自称魔法少女の目がギラリと光った。
「信じてないでしょ」
「当たり前だろ」
「むむぅ…じゃ、見てなさい直毛」
すると、丁度教室に入ってきた秋持悠一に向かって自称魔法少女きち(がい)にゃん☆
は手に持っているステッキを振った。
「ピリカピリララ ポポリナペペルト」
「待て似非魔法使い」
「む、何よ似非主人公」
「はぁ!?お前、それけっこう傷つくぞ!?」
「いいからどいてなさい似非直毛」
「気にいってんのかその言葉!!」
スルーをかまして、再びきち(がい)にゃん☆はステッキを振る。
「直毛縛りアップリケ、あの直毛を、チリチリの世界に送り返しなさい!」
ステッキは一切関係なく、ポケットから出したアップリケを放り投げた。
「な、なにっ!?」
アホの悠一は、なす術もなくそれに直撃した。
「お、俺の髪がぁぁぁぁぁぁ!!」
「うわっ!!」
見るも無残なチリチリになっていた。
「…………」
それを見た俺は、反射的にこういっていた。
「信じてなくてごめんなさい」