短編集

□その他×日本
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貴方のようになりたいと思っていた。
けれど、そんな淡い想いは消え失せて、私は彼の配下に下ってしまった。
えぇ、貴方の弟に。
そんな私に、少しの時間でも馴れ合った貴方は私の身体に刻まれた傷を垣間見る度に絶望したような瞳を向けるのです。



何故?と、そう思うのです。
貴方は私に“アレ”を落とすことに頷いたのでしょう?
もう“アレ”の名前を呼ぶことさえおぞましくて出来ませんが。
だからこうして私は傷を負っているのです。
なのに何故、貴方が傷付いたような顔をなさるのですか?
傷付いたのは私なのに。
貴方から、私の手を放したと言うのに。
だから、貴方に対して愛はない。



けれど、貴方の弟と手を重ねる度に、思い出してしまうのです。
貴方の手の大きさ、温かさ。
宝石のような瞳だとか、サラサラした髪だとか。
何より、貴方の笑顔を。



「日本、大丈夫かい?」



そう言ってこのような私を抱き締めて下さった温かさが、悲しい。
貴方じゃないのに、貴方を愛していないのに。
こうして、アメリカさんに心配され抱き締められる度に、貴方を夢見る。



あぁ、愚かな私には愚かな恋しか成せないのだ。



〜腕の中で悲しいを見る〜



(ごめんなさい、イギリスさん。アメリカさん。こんな私で、ごめんなさい…)



‡END‡



米SIDE→



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